ひきこもりの年齢層で最も多いのが
「中高年ひきこもり」だというのは
ご存知でしょうか?まだ若いから
大丈夫!?他人事ではありません。
私の娘は、いわゆる
中高年ひきこもり
になりませんでした。
ですから、ここからお話する内容は
私の実体験ではありません。
娘がひきこもっていた4年6か月の間
いろんな勉強をしてきました。
ひきこもりに関する様々なセミナー、
勉強会、親の会、自立支援センター
などで中高年ひきこもりを体験した
親御さんや実際に中高年ひきこもりを
解決した事例を聞き学びました。
さらに参考になる文献などを勉強して
得た情報も含めてお話します。
私の娘がひきこもりを解決したとは
言いましたが今後ひきこもりが再発し
中高年ひきこもりになる可能性は
正直否定できません。
そういう思いもあって、今回の
「中高年ひきこもりの原因と対策」
については、決して他人事ではない
という気持ちが強くあります。
本心としては、
中高年ひきこもりになる前に
できることがあるという思いが強く
なってしまったから諦めるのは
違うと考えています。
それでは、
お話を始めさせていただきます。
中高年ひきこもりを理解する上で
押さえておくべきことがあります。
まず、
ひきこもりは若者が多いという
イメージがあるかと思いますが
必ずしもそうではない事です。
内閣府による調査から抜粋させて
いただきますが、
内閣府の定義によると、
ひきこもりとは、
「様々な要因の結果として社会的参加
(義務教育を含む就学、非常勤職を含む
就労、家庭外での交遊など)を回避し、
原則的には6カ月以上にわたって概ね
家庭にとどまり続けている状態
(他者と交わらない形での外出を
していてもよい)を指す現象概念」
とあります。
つまり、
「学校に行かず、仕事もせず、家庭外
の交流を原則的に6カ月以上回避し、
おおむね家の中に閉じこもっている人」
ということです。
例えば
2015年の15~39歳を対象
とした調査では、ひきこもりの数は
推計54万1000人でした。
一方、
2018年に40~64歳を対象に
調べたところ、全国に61万3000人
いると推計されました。
「ひきこもり=若者」
というイメージがありますが、
必ずしもそうではない
ことがわかります。
2018年の内閣府の調査では、
「『ひきこもり』は、どの年齢層にも、
どんな立場の者にもみられるものであり、
どの年齢層からでも、
実に多様なきっかけでなりうるもの
であることが分かる」
と指摘しています。
(※内閣府HPより)
この調査については、
調査年度が統一されていないという
問題はありますが、おおよその
傾向は把握できます。
若い世代に多いと思いがちですが、
ひきこもりの半数以上は40代以上の
中高年が占めている現実です。
どうしても先行するイメージが、
「ひきこもり=若い世代」
ということもあって、
「不登校で学校に行けなくなって
そのまま仕事もせずに社会とも
接点を持てずになった」
と思われがちですが、
実際には
15~39歳のひきこもりのうち、
ひきこもったきっかけが小中高の
不登校だった人は18.4%に
すぎませんでした。
つまり、ひきこもりの8割以上は、
社会人を経験してからひきこもり
になったということです。
裏を返せば、小中高生などの
若い世代がひきこもりになってから
そのまま継続して中高年ひきこもり
になる可能性は高くはないとも
いえるのです。
内閣府が公表している数字だけを
見る限りは、中高年ひきこもりは
若年層のひきこもりとは違う
ように感じます。
不登校がきっかけでひきこもり、
それが中高年ひきこもりに直接
繋がったという数字が少ない事
だけを見ると全く別物と
考えてしまいます。
でも、中高年ひきこもりになった
きっかけを見ると
・退職したこと
・人間関係がうまくいかない
・病気
・職場になじめない
といったことが上位にあがっています。
これらのきっかけが原因で
中高年ひきこもりになった人の中に、
小中高生などの若い時期に
ひきこもりだったかどうかを示す
調査の数字はありませんでした。
私が個人的に思うのは、
中高年ひきこもりの人の中には、
不登校やひきこもりの経験がある
人が多いと感じます。
また仮にそういう経験が無くても
ひきこもりになりやすい素地が
あった人が多いと考えます。
若い時期にたまたま表面化せず、
何とかひきこもりにならなかった
というタイプです。
それが「退職」や「職場の人間関係」
などがきっかけで表面化したと
考えます。
つまり「根っこ」は同じということ。
ひきこもりになりやすいタイプは、
前にもお話しましたが、
・感受性が強い
・プライドが高い
・気が弱い
・自信が無い
・思い込みが強い
・物事を悪い方に考える
・寂しがり屋
といった人です。
幼少期からの子育てやまわりの環境
が影響していることは否めません。
でも、幼少期に戻ってやりなおす
事もできるわけがありません。
では、どうすればいいのか?
中高年ひきこもりは、7年以上の
ひきこもり期間の割合が5割近くを
占めています。
(内閣府資料より)
年齢も様々です。
中高年ひきこもりを解決する方法は、
私が当事者の親御さんからうかがった
内容や解決された方法をこの後
お話させていただきます。
中高年ひきこもりを解決された
という親御さんの事例を聞くと
基本的には中高生などの場合と
同じでした。
どういうことかと言うと、
年齢やひきこもり期間は違いますが、
現時点での本人が求めることを
愛情をもって聞いてあげること。
例えば、中学生が求める内容と
30歳前後の子供が求めることは
違うものです。
ひきこもっていても頭(脳)は
成長しているので年齢なりに
考えることも違います。
それでも変わらない事があります。
それは、
「親にわかって欲しい」
「なぜ理解してくれないのか?」
という気持ちです。
ある親御さん(母親)の話をします。
10年以上ひきこもっている息子に、
ある日勇気をだして息子が入っている
お風呂に入っていきました。
息子は、驚くどころではありません。
息子は目も合わせることができずに
いたそうです。
母親は、息子の背中を流しながら
息子に
「こんなに大きな背中になるまで、
こんな思いをさせてごめんね」
「お母さんが悪かったね」
と言って謝ったそうです。
その息子は、お母さんの言葉を聞いて
泣いたそうです。
そして、
お母さんの手を肩越しに掴んで
こう言ったそうです。
「お母さん、俺もう大丈夫だから」
「お母さんいなくても頑張れるから」
そう言って、翌日から就活を始め
ハローワークへ通うようになり
ひきこもらなくなったそうです。
現在は社会復帰し、何事もなかった
ように仕事をしているそうです。
これは一例にすぎませんが、
中高年ひきこもりを解決した事例には
同じ様な理由があることを知りました。
長い期間の中高年ひきこもりになると
親も本人も「ひきこもりを脱する」
という気持ちが薄らぐのです。
長ければ長いほど、諦めではないですが、
「もうどうしようもないのでは…」
という思いを持つようになります。
そんな思いを持つ親御さんは、
ひきこもり当初は持っていたであろう
「我が子を何とかしなければ」
という気持ちが萎えてしまいそうに
なることもあるでしょう。
私の場合は6年あまりでしたが、
そんな期間であっても気持ちが萎え
「もうどうしようもない」
「どこかの精神病院に入れよう」
「いっそ殺して自分も死のう」
そう思ったことは数えきれません。
そんな気持ちでも何とか出来たのは
「子供の人生を何とかしてやりたい」
「こんな人生のままはかわいそう」
という気持ちで踏みとどまったから
に他なりません。
あなたも我が子がかわいいのなら、
今すぐやるべきことがあります。
まず、親として
「必ず何とかして見せる」
という意思を持ち、肝を据えましょう。
そして私が前項以前に言った
のすべてをまず無くしてください。
親であるあなたの間違った考え方や
行動をすべてやめてください。
親がまず変わり、周りがかわることで、
本人が気づくようにしてください。
(※但し本当に変わることが必要)
「親が変わった」
そう感じた子供は、少しずつ気持ちが
ゆるみ、リラックスしてきます。
部屋から出てこなかったり
会話もしなかった子供が変わります。
そして、本人にひきこもる原因があり
それが親が原因だった場合には、
「ひきこもり初期の対応を詫びます」
威厳をふりかざしていた場合の
父親などは納得できず
「子供に謝るなんてとんでもない」
と一蹴されるかもしれません。
それでもこれは一番効果があります。
子供は
「親が変わるはずない」
と思い込んでいますから、
ましてや、父親が謝罪するなんて
夢にも思っていないでしょう。
だからこそ効果があるのです。
でも、
どうしてもイヤだという父親も
いるでしょう。
そういう場合は母親でも
仕方ありません。
母子家庭の場合もあるでしょう。
ひきこもった本来の原因が
分かれば詫びることが出来ますが
原因がわからないこともあります。
そんな時は本人に聞いてみます。
「どうしてひきこもったのか?」
「何が嫌でそうなったのか?」
「何が悪かったのか?」
ただし内にこもる性格で、
自分の気持ちをなかなか言えない
という子供もいます。
そういう場合は、その場で言わない
ということもよくあります。
そんな時は、追い詰めないで
「いつでもいいから教えてほしい」
「教えてくれたら嬉しいな」
と投げかけるようにします。
その後本人から
ひきこもった原因なり嫌だったこと
を聞かされた場合には、
しっかりと謝罪してください。
そして
「もうそういう思いはさせないから、
またそんな事をしようとしたら
教えて欲しい」
といった旨を話してください。
親が素直に謝罪することで、
子供にとっては、ひきこもる原因が
なくなります。
そうすると子供は自然に部屋から出て
同じ空間に居ることが苦でなくなり
親子の信頼関係が回復に向かいます。
今、これを読んでいらっしゃる
親御さんが父親なのか母親なのか
わかりません。
私は、父親ですが
当時、子供に謝るということには
とても抵抗がありました。
それでも、思っていた以上の
すごい効果がありました。
そしてひきこもりを解決できた時
「変なプライドを捨ててよかった」
と心から思ったものです。
さて、注意点が1つあります。
もし親としてのおかしなプライド!?
を捨ててまで子供に謝罪したとして、
親子が良好な関係になったとします。
でも、せっかく謝罪までして
親子の信頼関係を築いたにもかかわらず
その約束をほごにした場合、
つまり
親御さんが安心してしまい、
意識してやめていたことをまた始めると
子供さんは今度は、
「完全に裏切られた」
「嘘だったんだ」
という当初よりも強い思いを持って
ひきこもりは一段と激しくなります。
ひきこもりになった原因が親だった
という場合は、2度も裏切られた
という思いになります。
すると1度目のひきこもりよりも
深く、苦しいひきこもりに追い込まれ
簡単には信頼回復できなくなります。
そしてひきこもり当初の目的
「親に理解して分かって欲しい」
という気持ちから、
「嘘をついた親への怒り」
に変わっていきます。
こうなると、
暴言や暴力(家庭内暴力)につながる
可能性が高くなります。
注意してください。
最後までお読みいただきまして
ありがとうございました。
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