ひきこもりが解決し親子の信頼関係が
築けるようになると、今までの苦労が
報われたと感じる親御さんは、つい
安心してしまうきらいがあります。
ひきこもりで悩む親御さんの多くは、
「とにかくひきこもりを何とかしたい」
という一心で毎日を過ごされていると
思います。
私の娘がひきこもりになった時も
部屋から出て普通の生活をして欲しい。
ひきこもりが解決するまでは、
その思いだけでした。
その後、何とかひきこもりを解決して、
やっと普通に話すことができました。
しばらくは、数年ぶりの娘との会話に
天に上ったような気持ちでした。
そのうち日が経つにつれ大事なことを
忘れていることに気づきます。
そうです。
社会復帰です。
親子の関係が良くなり有頂天の私は
ひきこもりを解決できたことで、
もう大丈夫と思い込んでいました。
ひきこもりの解決までに6年以上の
歳月がかかった私たち夫婦は正直
その先のことまで考える余裕が
なかったのも事実です。
娘はもうすぐ成人という年齢になって
社会復帰は避けて通れない時期に
入っていました。
その後数年かけて社会復帰を
していくことになります。
ひきこもった子供が早期に解決すれば
復学(再登校)の選択肢もあります。
私の娘は、復学(再登校)の時期を
逃し社会復帰を目指すことに
なりました。
結果、社会復帰を果たしたのですが、
その過程で私たちが経験したことを
もとに話をさせていただきます。
社会復帰で気を付ける事
ひきこもりの解決にもタイミングが
あるように、社会復帰にも同じように
タイミングがあります。
特に気を付けるべきこととしては、
社会復帰は本人がするべきことで、
親がするわけではないことです。
「そんなことぐらいわかるわよ」
と言われそうですが、
実は社会復帰のタイミングで失敗し
ひきこもりが再発する場合が多数
報告されています。
どういうことかと言うと、
社会復帰といえば自立することですが、
親御さんが前のめりになりすぎると
「過干渉」をやってしまうのです。
ひきこもりを解決するまでに
「よけいなことを言わず」
「価値観を押し付けるのをやめ」
「子供の個性を尊重し」
という「過干渉」にならないための
様々な対応をしてきたはずです。
それが社会復帰という、言わば
大きな壁が目の前に現れたことで、
親御さんが口出ししてしまう。
それによってせっかく自立しようと
思っていた子供さんの気持ちや決意が
親御さんの「過干渉」の再発によって
崩れてしまうのです。
親御さんの対応としては
・本人が望む人生を歩かせるように
サポート(裏方)に徹する
・本人が何かを選ぼうとする時には
親御さんができるだけ多くの選択肢
を集めてくる
・親がべったりと寄り添うのではなく
場合によっては公共の社会復帰施設や
サービスを使う
・本人が求めてもいないのに親御さんが
あれこれと世話を焼きすぎない
・基本的に本人の意思や希望を優先し
求められた時のみアドバイスする
このように、とにかく本人の気持ちを
優先することがポイントです。
例えば、本人がアルバイトを始めよう
とする場合、本人は経験がないので
仕事の選択肢が狭いはずです。
どこかで見たり聞いたりしたような
情報や知っている職種の中からだけ
選ぼうとするはずです。
その中には、今の本人が出来るもの、
本人に合う職種かどうかわかりません。
また最初から高望みをする場合も
よくあることで、今の自分の能力以上の
ハードルの高い仕事を選ぶことも
あるかもしれません。
親としては、こういう時にどうしても
口出ししたくなりますが、我慢して
サポートに徹してください。
親としてできることは、できるだけ
いろんな職業を選べるような選択肢を
探して提案できるようにすることです。
そして質問やヘルプを求めてきたら
出来る限り客観的に仕事の内容を
説明してあげましょう。
ただし、あくまでも決めるのは本人。
本人が興味を持ったり、してみたい
と思ったことが最優先です。
間違っても
「この仕事なら安定して将来性が…」
などと、自分の経験や思いを過干渉的に
押し付けないできださい。
たとえ親から見てその仕事は無理…
と思っても本人が決めた仕事には
口を出さないでください。
そしてここが重要なんですが、
「仕事を始めてみて、合わなければ
すぐにやめてもいいんだよ」
と言ってあげてください。
この一言で本人は
「頑張らなければならない」
「○○しなければならない」
といった
親御さんの完璧主義の思い込みから
解放され自由になります。
そして選択を失敗しても決して
責めないでください。
「だからこうしておけばよかった」
などと言うのはもってのほかです。
最後までお読みいただきまして
ありがとうございました。
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タグ:ひきこもり 社会復帰 過干渉
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